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『ジャケット』 [映画(・・・?)]

製作はスティーブン・ソダーバーグとジョージ・クルー二ー、主演はエイドリアン・ブロディとキーラ・ナイトレイ。今、ハリウッドで最も注目されるスタッフ&キャストが揃った話題作で、しかも内容も一味違う。不条理な展開を見せるこの作品はオリジナリティが強く、どんなジャンルにも属さないが、例えるなら、去年公開された『エターナル・サンシャイン』。あそこまでロマンチックではないものの、時間軸の交叉で構成されたストーリーは、最近の個性派作品と肩を並べる存在と言える。

1992年、湾岸戦争で瀕死の重傷を負いながらも一命を取りとめたジャックは、後遺症で記憶に障害のある男。故郷に帰ってきた彼は、ヒッチハイクの途中である母娘に出会う。何か訳ありげな母親と、素直で愛くるしい幼い娘。しかし、彼女たちと別れた直後にジャックは事件に巻き込まれてしまう。気がつけば裁判所。心神喪失と診断された彼は精神病院に送られ、身体拘束用のジャケットを着せられて死体安置所に閉じ込められる。狭い暗闇の中で耐え難い恐怖に襲われるジャック。しかし、その間彼が体験したのは2007年の世界。そこで出会った若く美しい女性は、あの幼い娘が成長した姿だった・・。

ジャックを演じるのはエイドリアン・ブロディで、不安に怯えながら真実を突き詰めようと自己と闘う姿は『戦場のピアニスト』以来のハマリ役。ジャックと恋に落ちる女性ジャッキーはキーラ・ナイトレイ。初対面(少なくとも最初は互いにそう思っている)の男性を自分の部屋に入れ、泊まっていくことを許す女性なんて危なっかしくて仕方ないが、ジャッキーが醸し出すどうしようもない倦怠感、自分も周りも全て嫌い、という投げやりなオーラが、その無防備さに繋がるのかもしれない。ジャッキーが若くて美しいからこそ、この倦怠感が痛々しく、演じるキーラの表現力もまた素晴らしい。ただ、ジャックとジャッキーが恋に落ちるの設定が少々強引で、それまでの描写には次第に惹かれあっていく雰囲気を感じられない。

こんな感じのストーリーなので、一回では理解しにくい。見所といった見所も場面的にはあまりないが、他にジェニファー・ジェイソン・リーやダニエル・クレイグら演技派が脇を固めていることや、ジャックの見るフラッシュ映像(悪夢)など、注目すべき部分は多い。映画そのものを楽しむというより、チェックしておくべき映画と言うのが相応しいかも。監督は『愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』で知られるイギリスの気鋭ジョン・メイブリー。

THE JACKET
2005年アメリカ・ドイツ
監督:ジョン・メイブリー
出演・エイドリアン・ブロディ、キーラ・ナイトレイ、クリス・クリストファーソン、ジェニファー・ジェイソン・リー、ケリー・リンチ、ブラッド・レンフロ、ダニエル・クレイグ

5月20日、東劇にて公開


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