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『西瓜』 [映画(・・・?)]

韓流ブームの次は台湾なのかなあと思うほど、夏から秋にかけて台湾映画の公開が多い。これもその一本で、ツァイ・ミンリャン監督の新作。彼の98年の作品『Hole』という映画を覚えている人もいるかもしれないが、従来のアジア映画のイメージを覆すような独自の世界が評価され、現在最も注目を浴びている監督である。本作は、今の台湾社会でも未だタブーとされている大胆な性描写で様々な論議を呼び起こし、その年の台湾興行収入第一位を記録た。

極限状態の水不足に陥った台湾の街。毎日、テレビでは節水方法を紹介し、西瓜ジュースを奨励している。シャンチーも西瓜ジュースを作って乾きを癒していた。ある日、彼女は偶然、昔路上で時計を買ったことがあるシャオカンに出会う。それから二人は一緒に過ごす時間が増えていくが、シャオカンにはシャンチーに言えない秘密を抱えていた。それは、彼が時計屋をやめてAV男優に転身していること。しかも撮影場所はシャンチーの住むマンション!悪戦苦闘の逢引を続けるシャオカンだが、ある出来事がきっかけで、彼の努力も虚しいものに・・。

台詞は極力少ない。登場人物たちが何をしているのか、どういう境遇なのかは全く説明されないが、比較的長めに撮られたシーンが多く、彼らの心情を読み取るのに充分な”間”がある。対して、突如挿入される色鮮やかなミュージカルシーン。そもそも”急に歌ったり踊ったりする”ミュージカルというものを上手く利用した面白い演出で、台詞のないシーンとの対比が前衛的ですらある。シャオカンがAV男優という設定なので、アダルト映画並みに激しいセックスシーンが多い。特に、冒頭の西瓜を使ったセックスのイヤラシイこと・・しかし、どこかユーモラスな演出に笑わされることもしばしば。ベースとなっているのは男女の切ないラブストーリーだが、いろいろな角度から見てみると面白さが倍増する。因みに、AV女優役で出演しているのは日本のAV女優、夜桜すもも。彼女のプロ根性に台湾のスタッフは皆頭が下がったという。

The Wayward Cloud
2005年台湾
監督:ツァイ・ミンリャン
出演:チェン・シャンチー、リー・カンション、ヤン・クイメイ、ルー・イーチン、夜桜すもも

晩夏、シアターイメージフォーラムにて公開


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