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『リトル・チルドレン』 [映画(ヒューマンドラマ)]

初っ端から宣言。これ傑作です。本年度アカデミー賞に3部門でノミネート(主演女優賞、助演男優賞、脚色賞)された話題作でもあり、監督は『イン・ザ・ベッドルーム』のトッド・フィールド。絶対に、誰が見ても共感できる作品ではないかと思う。経済的に恵まれた2つの家庭の主婦と主夫を主人公に、彼らの周りの人々や、ちょっとした事件を絡ませながら展開する絶妙な味わいのドラマとなっている。

郊外の街に住む主婦のサラは、子供たちを公園で遊ばせながら近所の主婦たちとお喋りを交わす退屈な”恒例行事”の最中に主夫のブラッドと出会い、惹かれあうようになる。街では元受刑者のロ二ーが出所してちょっとした騒ぎに。ブラッドの友人で元警官のラリーはそんなロ二ーに嫌がらせを働く。ロ二ーを見守る彼の母親。大人になりきれない彼らの運命は何処へ・・・。

登場人物は多いが、ややこしくなく、脚本が本当によく出来ている。
小さな街に住む彼らの孤独や悩み、寂しさは決して特別なものではなく、誰もが共感できる日常的なこと。理想と現実の間で傷つきながらも必死に幸福を求め彷徨う姿は痛々しくもあるが、映画全体は明るく、ときにユーモアも交えながら描かれている。劇中「ボヴァリー夫人」の話題が登場し、ある主婦が「彼女は裏切った」と評する一方、サラが「違うわ、渇望したのよ」と発言する。このシーンがこの映画のキーワードと言える重要なシーン。人は、誰かを傷つけずに幸せになることは出来ないのだろうか?切ないほど胸を締め付けられると同時に、”人間”に対する言葉にならない愛しさがこみ上げてくる。数あるヒューマンドラマの中でも、こんな風に感情を揺さぶる作品はちょっとない。

サラを演じるのはケイト・ウィンスレット(彼女の仕事の選び方にも脱帽。作品を見抜く力がある)、ブラッドにパトリック・ウィルソン、ブラッドの妻にジェニファー・コネリー。そしてロ二ーを演じるジャッキー・アール・ヘイリーの演技に注目。子役出身の彼が低迷期を経て本作でアカデミー賞にノミネートされたことも記憶しておきたい。

キーワード;
水着、プール、不倫、アメフト、母、司法試験、ボヴァリー夫人

Little Children
2006年アメリカ
監督:トッド・フィールド
出演:ケイト・ウィンスレット、パトリック・ウィルソン、ジェニファー・コネリー、ジャッキー・アール・ヘイリー他

夏、Bunkamuraル・シネマ、日比谷シャンテシネにて公開


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