『シルバー假面』 [映画(・・・?)]
先日急逝した実相時昭雄監督の遺作となった作品。ちょうどニュースを聞いたその日の午後に試写の予定が入っていたので驚いた。本作は、1971年~72年にTV放映した、同名の特撮ヒーロードラマ。実相時監督と脚本家の佐々木守氏が生んだ”早すぎた傑作”と語り継がれている。しかし、この佐々木氏も今年2月に亡くなっている。
実相時監督は本作について「単なるリメイクでは意味がない」と新たな視点を加え、舞台を現代から大正に移し、主人公のシルバー假面を男性から女性へ、しかも日独ハーフの美女に変えて製作。スタッフもオリジナル版の面々が揃った。物語は3話構成で、実相時監督は1話目の「はなやしき」を監督。2話目の「於母影(おもかげ)」を北浦嗣巳、3話目の「鋼鉄のマリア」を服部光則が監督。
大正9年。スペイン風邪、シベリア出兵、労働争議、米騒動などで騒然とする帝都・東京の街。そこに起きる連続美女殺人事件。文豪森鴎外とドイツ人女性エリスの間に生まれた美女ザビーネは、怪人カリガリ博士の仕業と知るや彼に闘いを挑む。時空を超え、東京とドイツを舞台に、蜘蛛型宇宙人やコウモリ型宇宙人、鋼鉄ロボット・マリアら強敵と対決する。カリガリの目的は、ザビーネが持つ銀の指輪を手に入れること。自らが持つ金の指輪と銀の指輪が揃ったとき、世界は滅びるのだという・・。
名作『帝都物語』を髣髴とさせる映像に、ドイツ表現主義映画の代表作で知られるカリガリ博士が舞う。実相時監督と言えばの特撮シーン、おとぎ話のようなザビーネのさすらいの少女時代・・。魔物と絡む森鴎外、そこへ、エリート軍人・本郷大尉や若き江戸川乱歩も加わり、まさに実相時ワールドの集大成といった映像が満喫できる。この奇想天外で大胆な作品は、ファン必見のカルト映画と言っていい。しかし、ザビーネ役の二ーナがド下手。彼女がもうちょっと何とかなったらなあ・・と惜しいところ。カリガリ博士役の石橋蓮司の怪演が見もの。
キーワード;
奈落、舞姫、ハメルーンの笛吹き男、飛行船、ニーベルンゲンの指輪、ワルキューレ
2006年日本
監督:「はなやしき」実相時昭雄 「於母影(おもかげ)」北浦嗣巳 「鋼鉄のマリア」服部光則
出演:二ーナ、渡辺大、水橋研二、石橋蓮司、山本昌之、嶋田久作、ひし美ゆり子、寺田農他
12月23日より渋谷ユーロスペースにてレイトショー
(オリジナルDVD作品リリース前の劇場先行上映)
(C)2006 ジェネオン エンタテインメント/宣弘企画
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