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『明日、君がいない』 [映画(社会・世界)]

友人を自殺で失った後自らも自殺未遂をし、意識が戻ってすぐに書き上げられたのが本作の脚本(執筆時間はなんと36時間)。そして彼はその脚本をもとに2年の歳月をかけ、初めて映画を撮る(当時19歳)。そんなオーストラリアの新鋭ムラーリ・K・タルリ監督の思い入れが強い本作は、2006年度カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で上映されるや、20分ものスタンディングオベーションを巻き起こした。

ハイスクールに通う6人の男女。それぞれ、人には言えない悩みを抱え、ときにはその感情に押し潰されそうになる。2時37分、ついに1人の生徒が自ら命を絶つ・・。

衝撃的な展開があるのに、それだけ・・という言い方は相応しくないが、それだけの話だ。
カメラはドキュメンタリーのように一人一人を追い、彼らの本音や心中はインタビューシーンという形で表現されている。
皆の悩みは、ちょっとやそっとじゃない問題で、誰が自殺してもおかしくない。
観る者は残酷な好奇心をかきたてられ、全員から眼が離せない。
ラストの自殺シーンは生々しくて正視できず・・・(涙)。
でも自殺の原因が今ひとつ分からない。
「あのこと」を知ったから?でも、だとしたら何故知っているの?

プレスにも書いてあったけれど、エンドロールで謝辞を捧げる中にガス・ヴァン・サントの名がある。彼の近作『エレファント』と本作は非常に似ている。ガス本人もこの作品を観ていて、後で「似た題材を扱っているが似ていないところが素晴らしい」と誉めたそうだが、作る側には異なっても観客が”似た印象”を持ってしまうのは避けられない。そういう意味では新鮮味は薄れ、損ではないのかなと思える。
しかし、揺れるティーンエイジャーの「親にも言えない悩み」を描いた監督の目は、実体験に重ねているからこそ説得力があり、リアルだ。
現在、長編2作目を製作中らしいので次回作が楽しみ。

キーワード;
木漏れ日、ピアノ、トイレ、ゲイ、妊娠、マリファナ、兄妹、持病、ハサミ

2:37
2006年オーストラリア
監督・脚本:ムラーリ K. タルリ
出演: テレサ・パルマー、ジョエル・マッケンジー、クレメンティーヌ・メラー、チャールズ・ベアード、サム・ハリス、フランク・スウィート
 
(C) 2006 2.37 PTY


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