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『世界はときどき美しい』 [映画(・・・?)]


これまた一風変わったポエトリー・ムービー。
都会に住む男女の日常を見つめた5つのストーリーで、タイトルはフランスの詩人、ジャック・プレヴェールの詩篇「われらの父よ」の一節から取っている。それぞれの内面が独り言のように綴られ、観客は、静かに、深く、それらを体内に吸収していく・・そんな映画だ。

絵画教室でヌードモデルの仕事をする38歳の女性。体調を崩して通院する彼女は、道端の雑草を気に留めるようになった。

大阪の酒場をわたりあるいている蠅男と呼ばれる初老のオヤジ。路上稼業で、風呂付の家にも住めない彼は少ない金で毎晩街で飲み歩く。そして、また朝が来る・・。

恋人とベッドで過ごす女性。彼は私が好きなのかしら?と自問。いつかは自分も彼も死ぬ。彼女は、いつかテレビで見たインドの寺にある古い彫り物を思い出す。

天文台に勤務する青年。彼女の恋人は妊娠中。避妊が失敗して出来た子供だ。不安な気持ちを抱える2人。

一人暮らしのOLが、母と兄と一緒に父の墓参りに行く。実家でひとときの夕食。帰り際、彼女は母の孤独と老いを思いやる。「そういえば、私は母のことを何も知らない」・・。

5つの物語は何てことない話で(これ重要)、だからこそその”何てことのなさ”への愛しさや慈しみがいかに大切であるかを語っている。
映像というより写真を眺めるような感覚で、語られるモノローグは本を読むよう。
個人的には、台詞の多い映画は苦手なので、このモノローグがちょっとうるさかったけど、哲学的な内容でユニークだと思った。
特に良かったのは最後の一編。とても穏やかな気持ちでラストを迎える。

松田龍平って父親と全然雰囲気が違うが、声や喋り方がそっくりになってきた・・。

キーワード;
カフェ、居酒屋、工事現場、セックス、自動販売機、宇宙、子供、母、名前

2006年日本
監督:御法川修
出演:松田龍平、市川実日子、片山瞳、松田美由紀、柄本明、浅見れいな、瀬川亮、草野康太、木野花、遠山景織子他

3月31日より渋谷ユーロスペース他全国順次公開

©2006 「世界はときどき美しい」製作委員会


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