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『約束の旅路』 [映画(社会・世界)]

世界各国の映画祭で大絶賛を浴びた感動作。エチオピアのユダヤ人をイスラエルに移送するという「モーセ作戦」をもとに、ユダヤ人と偽りながら生きるエチオピア人少年の波乱の生涯を描く。

1984年。「生きて」という母の言葉を背中に、スーダン難民キャンプを出てイスラエルに脱出した9歳の少年。エチオピア居住のユダヤ人だけに許された行動だった。以来、エチオピア人である彼はシュロモと名乗り、ユダヤ人だと偽って生きることになる。愛情豊かな養父母に育てられ、恋もするが、その間、肌の色や宗教による壁、差別など様々な迫害にあう。何より彼を苦しめたのは、真実を隠して生きていることと、生みの母に会いたいという願いだった。医師になるという夢を叶え、愛する女性と結婚もしたシュロモは、ついに妻に告白する・・・。

シュロモを演じるのは子役も含めた3人の俳優。3人とも可愛らしく凛々しく、特に最後の青年時代を演じるシラク・M・サバハは自身もシュロモと重なる体験をしている。都会に生きる我々は、あまりに世界のことを知らなさ過ぎる。祖国や家族との別れを体験し、人種を偽りながら生きる苦しみがいかに深いか、考えたことがあるだろうか。同じ地球に生まれながら、こんな体験をしている人々が今もどこかにいるのである。世界の混迷がますます深くなっていく今、この作品の説得力は大きく、人間としての尊厳や誇りを力強く訴える。加えて、地の繋がらない養母とシュロモの絆も感動的に描かれている。母を演じるイスラエルの大女優、ヤエル・アベカシスが素晴らしい存在感を示している(ファッションも素敵)。

キーワード;
難民キャンプ、ユダヤ教、左派、学校、赤い肌、湾岸戦争、祖国

Va,vis et deviens
2005年フランス
監督:ラデュ・ミヘイレアニュ
出演:ヤエル・アベカシス、ロシュ・ディ・ゼム、モシェ・アガザイ、モシェ・アベベ、シラク・M・サバハ他

3月10日より岩波ホールにて公開


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