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『パンズ・ラビリンス』 [映画(・・・?)]

ずっと楽しみにしていた映画。
http://blog.so-net.ne.jp/hanamomimo/2007-02-22-20
今秋公開と聞いていたのだけど完成披露試写が早くてビックリ。

アカデミー賞では撮影・美術・メイクアップ賞と3部門受賞した他、スペインのゴヤ賞、英国アカデミー賞など各国の映画祭で受賞した話題作。監督は『デビルズ・バックボーン』『ヘルボーイ』のギレルモ・デル・トロで、本作は『デビルズ・バックボーン』の前日譚、姉妹編とも言えるダーク・ファンタジーだ。

スペイン内戦で父を亡くした少女オフェリアは、母が再婚するため山奥の駐屯地にやってきた。母の再婚相手は冷酷な大尉。不穏な空気に本能的な恐怖を覚えたオフェリアは、旅の途中で不思議な昆虫に導かれ、迷宮に迷い込む。そこには守護神”パン”が居て「あなたは探し続けていた魔法の王国のプリンセスに違いない」とオフェリアに語りかけ、彼女に3つの試練を与える・・・。

「不思議の国のアリス」のようなおとぎ話的ファンタジーと思っていたら外すかも。この映画の幻想シーンは映画の3分一程度。殆どは、オフェリアの義父である大尉の極悪非道さ、まさに鬼畜としか言いようのない冷血さを強調するようなストーリー展開で、惨殺シーンも少なくない。
大尉の子を宿し臨月を迎えた瀕死の母親、駐屯地を襲うチャンスを伺うゲリラ部隊、彼らに協力し、オフェリアを支える小間使いメルセデスらの緊迫したやりとりが冒頭からラストまで続く。時折挟まれる幻想シーンはオフェリアの内部を表す世界だが、現実と妄想の区別など彼女にとっては曖昧だ。現実は一つしかないのか?自分の思う現実と他人の思う現実は同じなのか?この映画は「現実」というものの観念についても問いかけてくる。

迷宮の中でオフェリアは、大ガエルに会ったり、手の平に目玉を付けた怪物に追いかけられたりする。彼女が出会う守護神パンは姿はグロテスクでも心根は優しい。逆に、大尉の非人道的な振る舞いはおよそ人間とは言えない怪物だ。最終的にオフェリアはどちらの世界を選ぶのか・・それは、「まさか」のラストシーンで明らかになる。

エンタテインメント系映画とは明らかに違うし、それなりに重いので要注意。
決して予想していた通りの映画とは言えなかったが、『デビルズ・バックボーン』が好きだった私にはこちらも好みでした。

キーワード;
妖精、ゲリラ、ナイフ、魔法の石、蛙、鍵、チョーク、抗生物質、ドレス、葡萄の実、マンドラゴラ、ミルク、血

Pan's Labyrinth
2006年スペイン・メキシコ
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:セルジ・ロペス、マリベル・ベルドゥ、イバナ・バケロ、ダグ・ジョーンズ、アリアドナ・ヒル他

今秋、恵比寿ガーデンシネマにて公開

『Pan's Labyrinth』 Teresa Isasi. (c) 2006 Picturehouse


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